[1143]  くまさん🐻
03/20 10:24
くまさんの幸せの花見

 森の桜が花をつけ、山にも春が来たことを知ったくまさんは、香織ちゃんと花見に出かけました。
可愛い香織ちゃんの手を引いて、町の川沿いにある桜並木に来ると、見事な満開の桜で満ち溢れていました。
香織ちゃんがうれしくてはしゃぎ回ると、そんな様子を見た南風さんは、一緒に遊びたくなりました。
南風さんがはしゃいでプーッと風を吹くと、桜の枝が手を振り、花びらがパラパラと散って踊り始めました。
 ピュー パラパラ ピュー パラパラ
たくさんの花びらがいっせいに枝の手から離れ、香織ちゃんとくまさんの回りでダンスを舞い踊ります。
花びらのダンスにうれしくて、香織ちゃんも両手を上げながら踊り始めました。
南風さんと花びらは夕暮れになるまで戯れていましたが、香織ちゃんは踊り疲れてそのまま眠ってしまいました。
そんな眠り疲れた香織ちゃんを背中におぶったくまさんは、香織ちゃんの家路につきました。
香織ちゃんを背中におぶっているあいだ、くまさんは幸せいっぱいでした。
こんな幸せがあるなんて思いもしませんでした。
 「南風さん、桜さん、ありがとう」
幸せなくまさんはいつまでも香織ちゃんをおぶっていたかったのですが、香織ちゃんの家に送ると後ろ髪を引かれる思いで山に帰っていきました。
帰り道、森の桜はまだ花びらが咲き始めたばかりでした、するとその森の桜が言いました。
 「くまさん、あんた花びらいっぱい付けてあたしより満開じゃないか、よっぽど楽しかったみたいだね」
言われたくまさんは、体中に花びらがくっついているのを知りました。
 「そうなんだ、花びらに誘われて香織ちゃんとダンスができたし、おんぶもできてうれしかったよ」
 「そうかい、そりゃあよかった」
香織ちゃんをおぶった背中のぬくもりを思い出し、南風に送られながらくまさんは森の中へと帰っていきました。

イイネ!(1) PC ZefMWATJ
[編集] [削除]

親スレッド
管理

無料レンタル掲示板ぺたぼーど