[1145]
香織
03/20 15:33
>>1143
香織の幸せなお花見
森の木々も芽吹き、山の花々が春を告げた頃 私はくまさんとお花見に出掛けました。
くまさんはわたしの手を優しく引いて、町の川沿いにある桜並木に来ると、見事な満開の桜が出迎えてくれました。
(以下、くまさんの幸せの花見より)
“わたしはうれしくてはしゃぎ回ると、そんな様子を見た南風さんは、一緒に遊びたくなりました。
南風さんがはしゃいでプーッと風を吹くと、桜の枝が手を振り、花びらがパラパラと散って踊り始めました。
ピュー パラパラ ピュー パラパラ
たくさんの花びらがいっせいに枝の手から離れ、わたしとくまさんの回りでダンスを舞い踊ります。”
花びらのダンスにうれしくて、わたしも両手を上げながら踊り始めました。
南風さんと花びらは夕暮れになるまで戯れていましたが、私は踊り疲れてそのまま眠ってしまいました。”
そんな眠り疲れた私を背中におぶったくまさんは、わたしの家路につきました。
わたしは背中におんぶされているあいだ、温かいくまさんのぬくもりで幸せいっぱいでした。
こんなに安心した気持ちなるのは、本当にはじめてのことでした。
家で目を覚ますと、私はべットの上で寝かされていました。枕元に小さな桜の花がそっと置いてありました。
はっとして窓から山の方を眺めましたが、もう日が暮れていて、よく見えません。くまさんが山に帰ってしまったと思うと、
私は突然、悲しくなり涙が溢れ出て来ました。
気が付くと真ん丸なお月様がこちらを見ていました。
お月様は「どんしたんだい?なに泣いているの?」と問いかけて来ました。
『だって、くまさんがいないんだもんっ!』
「あぁそうかい、じゃあ山に帰ったんだね…また、すぐに会えるよ。」
『いやだっ!今すぐ会いたいもんっ!』
「わがまま言うんじゃないよ、くまさんは山にしか住めないんだよ、あんたがその家にしか住めないのと一緒さ。」
『そんなのわかってるよ、わかってるんだけど…寂しいし、悲しいの。』
「そうかい、じゃあ、あんたは今日楽しくなかったかい?幸せじゃなかったかい?」
『ううん、とても楽しかったし、すごく幸せだったよ…」
「だったらいいじゃないか、きっとくまさんもそう思ってるよ。」
『ほんと?…そうだといいけど、』
「私が山の向こうに消える頃、そしたらまたくまさんに会えるよ。」
『お月様も居なくなっちゃうの?』
「そりゃそうだよ、じゃないとお日様が昇れないでしょ?」
『そっかぁ…そうだよね。』
「お日様が昇ったら、またくまさんに会えるから、そんなに悲しまないで。」
『うん!わかった、お月様ありがとう!』
わたしはくまさんの背中のぬくもりを感じながら眠りに着きました。
イイネ!(1)
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