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かおる?
03/30 20:12
『花は蝶を招き 蝶は花を訪ねる』 そのB
食事を終え、かおりと自己紹介を兼ねた、たわいの無い会話をしている内に、夜も大分更けて来た。そうだ、さっきから一つ奇妙なことに気が付いた。時計が無い…ロビーにも2階にも、この部屋にも…何処にも無い。>では、あのホール・クロックは一体何処から鳴って居たのか?…まぁ携帯もあるし、不便ではないのだが…。『私、あまり時計が好きではありませんの>何か時間に追われてるような気がして。』またかよ、おい。何で人の考えてることがわかるんだ。『視線ですわ、暫く接客業をしていたものですから。』
「成程、しかしそんなことで”ゴホッ、失礼!”果たして本当に解かる様になるものなんでしょうか?」『心理学に近いと言えば、近いかも知れませんね…例えば、“これを見せて下さい”と言われても直ぐには見せず、あえて間違えて隣の品物を見せて、逆に欲望を駆り立てる、とか?』人間の購買心理には“注意>興味>連想>欲望>比較>検討>信頼>決心(購入)>満足”と言うものが在ります。今、お客様が何処の位置に居るのか、何を欲して居るのか?的確に判断する必要があります。実は、言葉とは裏腹のことを考えている方も結構多いですのよ。
例えば、熊野様がお越しに成った時、紫のネクタイをされてましたよね?人は嫌いな色は決して身につけませんから、長旅でお疲れのご様子でしたので、私も紫のドレスにした方が、“心が和らぐ”のではないかと思ったのです。黒は亡くなった主人への“弔い”の意味もありますし、初めて会う時には大体、黒が多いです。正装とまでは言いませんけど。話が長くなりましたね。お部屋にご案内してから、お風呂のご用意もしてありますので。
2階の通路を通り、階段の正面の扉を抜けると、また大きな階段へと繋がって居て、その奥へと案内された。どうやら山の斜面を利用してこの洋館は立っているのだと今更気が付いた。壁に掛かった洋画を見ながら、執事とともに奥へと上がって行った。ミュシャ…いや、クリムトか。クリムトの“水蛇”の絵画が妙に気になった。裸体の女性の体に蛇が巻き付いて居る様な画像だ。その女性の顔がどこか、かおりの顔と重なる。
「こちらで御座います」階段の一番上に着いたところにまた、大きな扉があり、どうやらペント・ハウスの様だった。
中に入ると、ウエイトレスのような格好をした、若い女性が2人壁際に立って居た「後はこちらの者達がお世話を致しますので。では、私はこれで失礼致します。何かございましたら遠慮なくお申し付け下さい。」と言うと執事は低調に頭を下げ、部屋を出て行った。何をしろって言うんだ?大きなリビングに、これまた大きなソファーのセットとキャビネット。向こうにはップロレスラーでも寝れるような、キングサイズのベッド。白いレースのカーテンまで付いてる。右手には洋酒が並んだバーカウンター…こりゃ、朝まで寝れるかな?
『かおり様より、くれぐれも失礼の無いようにと言われております。何でもお申し付け下さい。』「あぁ、そうですか…えっと俺の荷物は?」『こちらでございます。』すぐ後のクローゼットに荷物は収納されて居た。「取り合えず、着替えたいので…」『お手伝い致しましょうか?』何を言ってるんだこの子達は?「いや、大丈夫です!」『では、お風呂ぼお支度と、何かお飲みになりますか?』さっさと酔って、風呂に入って休むとするか?「じゃあ、ジントニックか何か貰おうかな?」
1人はバーカウンターの中へ、もう1人は部屋のバスルームに行ったらしい…バックから着替えを取り出そうとしたと時、もう1人がバスタオルとガウンを持ってきてくれた。ああ、どうせ風呂に入るんだからガウンでいいかな?ジントニックにガウン…石原か渡か舘か?カウンターからもう1人が、銀のおぼんの上にジンの入ったタンブラーと、生ハム&チーズを持って来てくれた。>気が利いてるなぁ…「どうぞ、」『ありがとう。』膝まずいて座った彼女の胸元にブラジャーが見えなかった。まさかね…良く観たらスリッパは素足だ。寒くないのか?
イイネ!(2) iPhone
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