[1252]
かおり
04/25 17:22
くまさんとかおりちゃんのものがたり
[番外編]かおりの母、美里のものがたり(後編)
美里がその山を訪れた時は必ず、クマちゃんと行き合った場所に行って、サンドイッチや飲み物、フルーツなどをバスケットに入れて、クマちゃんと一緒に食べたり、あげたりしてました。
でもその内に美里は、かおりちゃん≠身籠っていた為、度々体調を崩し、病院に行ったり、入院するようなこともあり、山の方には、暫くお父さんしか行けなくなってしまいました。
そんな理由を知らないクマちゃんは、自分が嫌われたのかと思って、毎日泣いて過ごしていました。それからと言うもの、その小さなクマちゃんは、来る日も来る日も、美里を待っていました。
お花畑で積んだお花や、どんぐりの実を沢山抱えて、雨の日も風の日も、美里が来るのを待ちわびていました。夏が過ぎ、秋になった頃、やっと美里も容体が安定して、暫くぶりに、お父さんにその山へ連れて行って貰いました。
建築中の家も大分出来上がり、クリスマス頃には引っ越しの予定になっていました。「そんな身体で本当に一人で大丈夫かい?」おとうさんは、美里の身体が心配で仕方ありませんでした。「大丈夫!ちょっとクマちゃんに会って来るだけだから。」
美里は初めてクマちゃんに行き合った場所に、ゆっくり歩いて向かいました。その場所に着いてみると、お花やどんぐりが山のように積んでありました。中には随分と痛んでいるのもありました。 (やだっ、毎日の様にココに来てたのね、悪いことしちゃったわ。)
すると、ガサガサっと草をかき分ける音がして、クマちゃんが走ってやって来ました。美里はクマちゃんを屈み込んで優しく抱きしめました「ごめんね、クマちゃん、中々来れなくて…独りで寂しかったでしょ…」クマちゃんはわん、わん°モォました。
クマちゃんは少し背が伸びましたが、なんだかやつれたような感じで、体も痩せて毛並みも悪く、凄く汚れていました。でも、美里は全然気にせず、嬉しくて泣いているクマちゃんを、いつまでも、いつまでも、抱きしめていました。
イイネ!(3) iPhone
[編集] [削除]
親スレッド
管理