[1388]  くまさん🐻
06/08 10:52
>>1386

香織の料理歳時記

6月某日
ぶっかけうどんと焼き茄子

 キッチンに一輪の花を飾っている、昨日の散歩途中に道端で見つけた、目の前には英国風庭作りをしている有閑マダムの庭、そこに同じラベンダーが密生している、そこからのこぼれ種であるのははっきりしている。
だけど一応通り道に生えてるし、そこの庭からも数メートルだから取っちゃった。

 そのラベンダーの花の紫に、開け放したガラス戸から早朝の陽が差し込む。
風もない穏やかな6月の日、私はおろし器で尻尾の方が5センチほど残った大根をおろしながら、
生まれてまもない初夏の日差しを楽しんでいた。

茄子に数ヶ所の切れ目を入れてグリルで焼いている、その香りが漂うキッチンの朝もやっぱり私一人。

おろした大根は小鉢にちょうどの分量で満足気な私は、そこに白だしを大さじ一つ、おかかをフリフリして
次の準備へ取りかかる。

 冷凍庫からうどんを出して茹でる、自作の手打ちうどんだ、自分で打つと小麦の香りが残る。
そばほどじゃないにしろ、香りがあるという自然な感じが安心感を誘い、軽い鼻歌も出ようというものだ。

 ブライアン・アダムスのメロディだけを鼻で奏でたら、鍋のうどんが泡と一緒になって”できた、できた”
と騒ぎ出す、この連中はブライアン・アダムスじゃなくて、祭りの掛け声みたい。

 はやす連中をざるにあげて、流す水で洗う、少しは落ち着いたか。
手ざわりで麺の腰の強さがわかる、讃岐風ならぬ香織たぬきうどんなり。

 軽井沢に出かけた際、偶然見つけたアウトレットの店で買った青い薔薇模様の器にうどんを盛る。
この器、規格外の訳あり商品、だからあたしでも”ふふん”と言ってレジに並ぶことができたのだ。

ちょっと洋風のこの器にうどん、さわやかな今朝の雰囲気とあたしにぴったりだわ。
で、大根の辛味は尻尾の方が利く、白だしとおかかの乗ったその大根おろしをうどんと並べておいた。

 そうするうちにグリルで焼き茄子がやきもちを焼いたのか、真っ黒になって焼きあがっていた。
切れ目に沿ってコゲた皮を取る、中から美味しそうな身が顔を出す。
これも薔薇模様のお皿に乗せて、今朝の香織お手製御膳のできあがり。

 うどんに大根おろしをぶっかけてまぜまぜする、麺つゆを足して一口、くぁ〜!辛!
あわてて焼き茄子で口の中をリセットする、ああ、やさしい味、ほっと一息。
青い薔薇に囲まれたこんな朝食、今日はなにかいいことあるかなぁ。



イイネ!(2) PC ZefMWATJ
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