[14]  さわこ
01/27 10:41
第十一回妄想 

4月の下旬頃、省吾くんが家に来ました。

「おじゃましま〜す!」

夫は今日のためのやり取りを省吾くんとしてたようであれこれとそのことを夫は話してくれていました。

省吾くんからは

" 本当にお邪魔してもいいんですか? "

と聞かれましたが

W 主人が言うんだからいいわよ(笑) "

W わかりました。麻木さんと連絡を取りますね。W

WオッケーW

省吾くんはやや照れながら、紙袋を提げて玄関にきました。

「いらっしゃ〜い」

( うん、今日もイケメンっ! )

何言ってるんだろう…そう思いながら手の荷物が気になりました。

「その荷物どうしたの?」

「ああ、それは省吾くんにもしよかったら泊まってもいいぞと言ってあったんだ。」

「はい、麻木さんからお誘いを受けましたので、、、だから着替えの用意をしてきたんです…すみません。」

「そうなんだ…ふうん、わかった。」

少し固まってしまいました。

( え? もぅ…なんで言ってくれないのよ )

動揺しました、ですが何も言えません。
開き直るしかありません。
何もないかのように、気にしてないフリをして、にこやかに省吾くんを迎えます。

省吾くんを居間に案内した後、私は夕食の焼肉を用意し始めていたので、省吾くんは夫とと二人でしばらく雑談していました。不意に省吾くんが庭の方を見ながら言いました。

「お二人以外にどなたかいらっしゃるのですか?」

「ああ、甥がね。遊びに来るんだ。釣りの趣味とかも合うんだよ。それにあの子の父親、妹のご主人なんだけど単身赴任でね。父親代わりなんだよ。」

「もしかして、甥子さんサッカーされているんですか?」

庭に転がっているサッカーボールを見つけたようでした。

「ああ、まだ始めたばかりだけど。サッカー部に入ったらしいよ」

「へーっ、そうなんですか。実は僕もやってたんですよ。中学、高校と」

「そうなのか、ならちょうどいいじゃないか、ちょっと甥に教えてやってくれよ」

私は近くに住んでる甥を電話で呼びました。甥はすぐ飛んできました。

「省吾です、よろしくね。サッカーやろうか!」

甥の弘毅はやや人見知りする方で、最初はややぎこちなかったのですが、気さくな省吾くんにすぐに慣れて、省吾さん・省吾さんと呼ぶようになりました。
私はその様子を夕飯の準備をしながら微笑ましく見ていました。夫と下の子が昔、こんな風に遊んでいたのを思い出しました。
二人は時間も忘れたように夢中でサッカーをしていました。4月の下旬でしたが、その日はいいお天気で、気温も高かったので、二人は汗だくになっていました。

「なによ、あなたたち汗ビッショリじゃないの。シャワー浴びて着替えなさいよ」

夕食の支度ができたので私は庭に出て言いました。

「うん、省吾さん シャワー浴びようよ」

すっかり省吾くんと仲良くなった甥は省吾くんの手を引っ張りながら言いました。

「あっ、じゃあ ちょっとシャワーをお借りします」

「省吾くん、その服明日も着るんでしょ。脱ぎなさい、洗濯しておいてあげるから」

「あっ、ああ、すみません。じゃあ…」

省吾くんは風呂場に向かいます。私はその後についていきました。横の脱衣室の前で待っていると中に入った省吾くんは服を脱いで、脱衣室のドアを少しだけ開けて服を簡単に折り畳んで私に渡しました。
汗をかいた省吾くんの服、、、その服を抱きしめそうになるのを堪えながら立ち尽くしてていると私の横をすり抜けて甥が脱衣室の中にります。私は驚きましたが落ち着いて洗濯機に入れてリビングに戻りました。

しばらくして甥の叫び声が聞こえたのです。

「うわぁー!省吾さんの超デカイ!!」

甥の叫び声は居間にいた私にも聞こえましたから、夫も聞こえているはずです。甥の弘毅が言ったのは、“省吾くん自身”のことだと思います。中学1年生ですから、そういうことにも興味が出てくる年頃なので仕方がありませんが、私はそれを聞いてビクッとしてしまいました。甥は見た正直な感想を口にしたのでしょうけど…

( え? そんなに? ばかっ…何考えてるのよ…夫も甥もいるのに )

人妻としてあるまじきことです。

( でも、そんなに? だめだめ… 私ったら… )

少し落ち着かなくなってしまいました…でも、そんなことは顔に出さないように努めていました。

夕食の準備を整えて夫と私は二人が出てくるのを待っていました。浴室からは時々笑い声が聞こえてきます。

「あの二人…すっかり仲良くなったわね」

私はあんまり2人が親しくなるのは、、、なんて考えていました。せっかく甥が仲良くなったと言うのに…

「ああ、弘毅も一人っ子だからな、いいお兄ちゃんができたみたいでうれしいんだろうな。省吾くんも今時珍しいいい男だよ。また、時々食事に誘ってやろうか」

「そうね…」

私は曖昧にしか答えられません。

( ここだとゆっくりお話もできない…それよりも…ここに来てもらうより、省吾くんのマンションに食事を作りに… )

在らぬ思いをかき消すよう支度を続けます。

二人が着替えを済ませて出てきました。
2人に席につくように言って座らせて四人での夕食が始まりました。

「さぁ、省吾くん どんどんやってくれよ」

夫は省吾くんにビールを注ぎながら言いました。

「遠慮しないでたくさん食べてね。うんと栄養つけないとね。家だとまた相変わらずなんでしょ?」

「いやーぁ、すごいですね。ありがとうございます」

省吾くんは目の前の肉の山を見ながらうれしそうに言いました。

「どうだ、弘毅 少しはサッカー上達したか?」

「うん、バッチリだよ。省吾さんに教えてもらうとなんだかすごく上手くなったみたいで。省吾さん どうしてJリーグの選手にならなかったの?」

「あはっ(笑)俺ぐらいじゃ全然だめだよ。プロの選手はやっぱり違うから。車のセールスマンでよかったよ」

「そうなの?もったいないなあ……あーっ、省吾さんの これぐらいだったかな〜」

甥が皿の上にあった10センチ以上ある大きなフランクフルトを箸で摘みながら言いました。

( ビクッ!  え?!え?! )

思わず省吾くんの顔を見てしまった私は慌てて視線を逸らします。

「おいおい(笑) ここで言うなよ」

省吾くんはやや恥ずかしそうに苦笑いをしながら言いました。否定しなかったのです。夫は笑っていましたが、私は黙ってしまいました。

( あんなに… あんなのが… 省吾くんの… )

私は…気もそぞろになってきてきました。

夕食も終わりかけたそんな頃に甥が私に言いました。

「ねぇ、伯母さん、僕 今日泊まっていい? 省吾さんと一緒に寝てもいいよね?」

「そりゃあ いいけど、省吾くん…いいの?」

「ええ、お二人さえ良ければいいですよ。じゃあ一緒に寝るか、でも俺のいびきで寝れないぞ(笑)」

結局その日は省吾くんと甥は同じ部屋で寝ることとなりました。2階の下の子が使っていた部屋に2人分のお布団を用意しました。
普段夫は2階の自室で、私は子供たちがいた頃と同じように1階の私の部屋で寝ていました。

キスまでしてしまったと言ってもさすがに家では何も…と思っていました。
でも、心の中では…

( 深夜鉢合わせてしまったら…もし一階の私のところに忍んできてしまったら…どうしよう… )

私は拒みきれないのではないか、いえ、私は拒まないのかも…

今日、訪問して来た省吾くんの顔を見た時から胸騒ぎと淡い期待を持ってしまっていたのでした。
その反面、甥が一緒ならそんなことは…なんとも言えない気持ちになりました。

私は夜露に濡れた洗濯物を乾燥機に入れて台所の片付けを終えてお風呂に入りました。
お風呂の中では鏡の中に私が現れます。

( このこと…話さなきゃ…でも…また…また昔みたいに… )

夫と出会う前に知り合い仲良くなった男性たち…数回会うと気づかれる私の違和感…打ち明け話しの途中から罵られるか怯えられてしまう…そして別れ…同好の人々が集う場所に行くようになり、始めからのカミングアウト…

夫と出会うまでに"女"としての他の男性に恋心を抱かなかったわけじゃない…恋心を抱いても先に進むことを拒まれ、そうじゃない人は、私を"女"の代わりとして都合のいいように扱おうとした。
そして…私は独りで居ることを選んだ。

なのに、夫と…麻木と出会ってしまった。麻木は私を"女"として迎え、“妻“として“母“としての居場所をくれた。
この人のために尽くそう、一生懸命ついて行こう…これが最後に愛する人…本当に愛する人…そう思ってこれまで来たのに…私はなんということを…純粋な彼に私は恋心を抱かせてしまった…恐らく複雑な家庭に育ったが故に女性を、母をよく知らずに居た彼を私は騙すようなことをしてしまった…

( そんなつもりじゃなかった… )

( だって、車を買っただけなのに… )

私は悩みました。
湯船に浸かりながら目を瞑りどう伝えようか考えました。言葉を選びながら考えるうちに気づきました。

( …彼の気持ちを受け入れてしまっている… )

ショックでした。
断る方法を考えなければいけないのに…

その瞬間、省吾くんの声とあの時の会話が頭に響きました。

W省吾くん、彼女いるの?W

“ う〜ん、いないですよ。いない歴がもう2年かな “

“ ホント?そんなふうに見えないわ。ねぇ、モテるんでしょ “

“ 全然モテないですよ。僕、これでも奥手なんですよ “

“ ふ〜ん、でも好きな人とかいるでしょ? “

“ ええ…いますよ。内に秘めてますけど “

“ なんだ〜っ、いるんじゃない。(笑)
じゃあ、さっさと告白しちゃいなさいよ。
誰なの?会社の女の子かな。
言えないなら私が言ってあげようか? “

“ いえ、なんて言うか…
その人、結婚してるんです。だから… “

“ へ〜っ、そうなんだ。叶わぬ恋ってやつね。その人、お客さん? “

“ そうです、今僕の目の前にいます “

ふと顔をあげると省吾くんの顔が目の前にありました。

( だめ…省吾くん… )

………キス………

バシャッ!!!!!

私は目を覚ましました。
今日一日の緊張と疲れからでしょうか、湯船で居眠りを…そして夢の中で省吾くんとキスを…

目を覚ました私は鼻までお湯に浸かりながらもう一度思い出していました。

両手で自分を抱きしめます、力一杯。

忘れよう…忘れるの…

両膝をグッと閉じ、目を瞑って…

左手を膝の裏から入れて抱えるようにして右手を会陰部に這わせて前へ…

ゴボッ…鼻から息が漏れ水に泡が飛びます。

そして後ろへ

ゴボッ…また鼻から息が漏れ水に泡が飛びます。

「だめだわ…こんなことしてちゃ…誰かに見られでもしたら大変…」

私は独言てお風呂を出ました。

( でも…それが省吾くんだったら… )

私は少し窮屈になったショーツを履きパジャマに着替えて寝室に入りました。

寝苦しい夜の一人寝になりました。
昼間暑かったからでしょうか、寝汗が身体を伝います。

寝なきゃ…自分に言い聞かせるように…何も考えないようにしていました。


翌朝、いつもより早く目覚めてしまった私はもう一度シャワーを浴びました。

偶然は重なって予期しない方向へ道が拓けていきます。

このことがなければ違う方向に私たちは進んでいたかもしれなかった。

そして…

〜〜〜〜〜〜〜

朝7時過ぎに夫は起きてきてリビングに来ました。

私は台所に立って朝食の準備をしています。

省吾くんは早くに起きていて居間で新聞を読んでいました。

「おはよう、省吾くん 早いじゃないか、休みなんだからもっとゆっくり寝ていればいいのに」

省吾くんは立ち上がって夫に挨拶をしているようです。

「おはようございます。十分休ませていただきました。ちょっと早く目が覚めてしまったもので…」

「そうかい?結構遅くまで弘毅と話していたみたいだし、かえって悪かったかな」

背中で2人の話すのを聞いていた私は深く深呼吸をして振り返りエプロンで手を拭きながら2人を見ながら言いました。

「本当よね、逆に気を使わせちゃったみたいね。省吾くん 朝ご飯食べたら少し休んだらどう?弘毅はまだ寝てるみたいだし」

省吾くんは大きく手を振りながら言います。

「いえいえ、大丈夫ですよ。昨日はとても楽しかったです。本当にありがとうございました」

少しして甥も起きてたので、四人揃って朝食を食べた後、省吾くんは帰っていきました。
朝食の間も、省吾くんと甥が楽しそうに話をしていたぐらいで、私はその様子を笑顔で見ていました。
夫も楽しげに会話しています。私もその中に入ります。

私は決めていました。省吾くんに全て話そう。今朝2人に起こったことでもう…気づいているはずだから…

30分ぐらいたってからでしょうか夫が不意に

「ちょっと買いたい本があるから出かけてくる。」と言って家を出ました。

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