[17]
さわこ
01/29 10:50
第十三回妄想
その日、朝7時過ぎに夫はリビングに来ました。
私は台所に立って朝食の準備をしています。
省吾くんはあれから着替えてすぐに戻ってきてリビングで新聞を読んでいました。
「おはよう、省吾くん 早いじゃないか、休みなんだからもっとゆっくり寝ていればいいのに」
省吾くんは立ち上がって夫に挨拶をしています。
「おはようございます。十分休ませていただきました。ちょっと早く目が覚めてしまったもので…」
「そうかい?結構遅くまで弘毅と話していたみたいだし、かえって悪かったかな」
私はエプロンで手を拭きながら2人を見ながら言いました。
「本当よね、逆に気を使わせちゃったみたいね。省吾くん 朝ご飯食べたら少し休んだらどう?弘毅はまだ寝てるみたいだし」
私は少しでも長くいて欲しい、そんな気持ちになっていました。
省吾くんは大きく手を振りながら言います。
「いえいえ、大丈夫ですよ。昨日はとても楽しかったです。本当にありがとうございました」
( もう、、、人の気も知らないで )
背を向けて座っている夫、省吾くんはこちらを向いていますが私の視線には気づきません。
少しして甥も起きてたので、四人揃って朝食を食べた後、省吾くんと甥は帰っていきました。一緒に帰らせたのは途中にある家まで甥を届けてもらうためです。
朝食の間も、省吾くんと甥が楽しそうに話をしていたぐらいで、私はその様子を笑顔で見ていました。
夫も楽しげに会話しています。私もその中に入ります。
2人が連れ立って歩いて行くのを夫と2人で見送ります、私ややや後ろで、夫の視界から隠れるように。
省吾くんは2度ほど振り返り頭を下げます。
2度目に振り返った時に私は彼に向かって小さく手を振りました。
私は決めていました。省吾くんに全て話そう。もう、、、気づいているはずだから、、、
省吾くんと甥が家を出て30分ぐらいたってからでしょうか
「ちょっと買いたい本があるから出かけてくる。」と言って家を出ました。
朝食や他の片付けを終えて洗濯物を干している時、夫が不意に言いました。
「うん、わかった。お昼は?食べるでしょ? 何がいい?」
「そうだなぁ、軽めが良いよ。昨日の焼肉が効いてるし今朝もお前が張り切って作ったから量が多かったからね。省吾くんにサービスし過ぎたんじゃないか?」
何気なく言ったのでしょうけど、、、私はビクッとしてしまいました。
「そんなことないわよ(汗) おもてなしよ、おもてなし。弘毅もいたんだから。何よ?妬いてるの?」
これ以上言えません。精一杯です。
夫に気づかれたら、、、それだけが心配でした。
「ばーか、んなわけあるか。」
夫はそう言って笑いながら出かけて行きました。
朝から慌しくしていた私はようやくホッと一息つきます。
夫の根拠のない鋭い指摘をやり過ごせたのかはわかりません。
ドレッサーに座り鏡に写る自分を見ていました。
( どうして省吾くんは私を…? )
彼のように若い男性に好意を寄せられる、私のような年齢の女性にとってあり得ないこと、それが普通であるはずです。
彼の複雑な家庭環境のために母性への憧れと孤独がそうさせたのでしょうか。それでも心の底では喜んでいました。
( そうだ、、、ちゃんと話さなきゃ )
彼は、、、受け入れてくれた、、、恋愛対象として、、、
私は携帯を取りメールを送ります。
“省吾くん、お疲れ様、昨日からありがとう😊 弘毅のお世話まで頼んだ上に一緒に寝てもらってごめんね🙇♀️ 私の手料理じゃなかったけど喜んでもらえたかな?夫が勧めてくれたので焼肉にしました。焼肉は堪能してくれた? 夫も弘毅も大満足だったようです。
省吾くんはもう家に着いたかな? まだだよね?
落ち着いたらメールしてください。お話しがあるの。お願いします。 里美“
「ふう、、、」
私はため息をついてお昼ご飯の用意を始めました。
しばらくすると夫が帰ってきました。
「遅かったわね?どうしたの?無かったの?」
「ん? あぁ、、、なかなか本がなくて2、3軒周ったんだけどなかったんだよ、、、」
歯切れが良くありません。
( 珍しいわね、、、でも、、、メールも打てたし、、、ま、いっか )
メールができたことで安心していました。
「お昼できてるわよ」
「うん、食べる」
夫は食事を終えると
「今度は〇〇駅の大きい本屋に見に行ってくるよ。」
2駅都心側へ行く隣の駅です。
「そんなに探してるの?」
「ちょっとね。」
「、、、また、、、遅くなるの?」
私は思わず聞いてしまってから気づきました。
省吾くんからのメールの着信があるか気になって仕方がなかったのです。
「いや、そんなつもりはないけど〇〇駅だからそのままパチンコに行くかもしれない。」
「そう、この間みたいに負けてこないでよ?」
あえて軽口で返しました。
「あぁ、今度こそリベンジだっ!」
また笑顔で出て行く夫を笑顔で送り出す私。
「いってらっしゃい。」
お昼の片付けを済ませ寝室に入りメールの着信を確認しました。
30分ほど前にメールの着信が入っていました。
“里美さん
先程家に帰りました。
昨日は大変お世話になりありがとうございました。お食事美味しかったです。確かに里美さんの手料理じゃなかったのは残念でしたが楽しい時間を過ごせましたし弘毅君と仲良くなれました。それに麻木さんともゆっくり話が出来てとても良かったです。
それに僕にとって素敵な思い出ができました。これが一番の喜びでした。
どうしたんですか?何かありましたか?」
私はすぐに返信します。
“お疲れ様、家に着いたのね。お昼は済んだ? ちゃんとしたもの食べたの?“
私は母親? いえ姉ぶって送ります。
“はい、帰りに喫茶店で済ませてきました。自分で作るよりちゃんとしたものです(笑)”
“そうなんだ、確かに省吾くんが作るよりはましかもね(笑)”
当たり障りない会話を続けます。
“ひどいですね(笑) 今度はちゃんと作ってみせますからまた食べに来てください。」
“省吾くんのところに?行っても大丈夫かなぁ?(笑)”
“あ、、、すみません? 余計なこと言いました。ごめんなさい。”
“いいの 大丈夫だから(笑)”
“あの、、、どうしたんですか?”
“あのね、省吾くん。
どうして、、、あんなこと、、、したの?”
返信にしばらくかかりました。何か長く打ち込んでいるのでしょうか、、、しばらくして着信が、、、
“はい、、、その、、、僕は前に家に来てもらった時にキスまでしてしまって、嫌われたと思っていたのです。でもその後も麻木さんご夫婦は変わらない態度で接してくださっていました。里美さんが僕のことを麻木さんに苦情として言わないでくれたからです。このことに感謝していました。もしそんなことになっていれば尊敬する麻木さんを失うだけではなく顧客としての麻木さんも失うことになります。それに里美さんとも会えなくなってしまう。それだけは嫌でした。
だから、これからは誠心誠意ご夫婦とお付き合いさせていただこうと決めていたんです。
だから、お宅にお邪魔しても、麻木さんの家だから、里美さんに何かしようなんて思わなかったし、する気もなかったんです。でも、、、すみません。”
読んでいる間に続けてメールがました。
“今朝、6時前ぐらいに起きてしまったんです。まだ早いし、もっと寝ようかと思ったんですけど目が覚めてしまって。それで里美さんが服を洗濯してくれてることを思い出して、取りに行こうと思って一階へ降りました。そしたら、浴室で誰かがシャワーを浴びている音が聞こえたんです。すぐに…里美さんだと思いました。”
またメールが届きました。
“声をかけるわけにもいかないですから、あたりを探してみたんですけど服が見つからなくて。それでしばらく待っていたんです。でも、なんか里美さんを待ち伏せしているみたいに思われたくなかったから、また二階へ上がって待っていました。しばらくして、浴室を出て脱衣室に行く音が聞こえたんで、わざと大きな足音をたてて階段を降りて脱衣室の前まで行って声をお掛けしたんです”
( それであんな大きい足音を、、、 )
“声を掛けると、里美さんはちょっとビックリしたような感じで脱衣室のドアを半分だけ開けて顔を出してくれましたよね?今でもハッキリ覚えています。髪はボサボサで濡れてて、バスタオルで身体の前を隠してました。僕、見てはいけないと思って顔をそらしたんです。里美さん バスタオルで前は押さえてましたけど、ちょっと慌ててましたよね?その時、僕、胸の谷間がはっきり見えてしまって、、、”
またメールが届きます。
“申し訳なかったんですけど、すごくドキドキしてしまって。里美さんの胸があんなに大きいと思わなかったんです。僕はこれ以上は見てはいけないと思って、言われた通りリビングに行きました。”
昔、夫と付き合い始める時に子供達を亡くなった奥さんと同じようにとは言えなくても甘えることが出来る様にするために私から話しをして夫と相談をしました。亡くなった奥様も胸が豊かであったと聞いていましたが、私は普通かやや小さめになるようお医者様にお願いして、これだけは作っていました。
ですがここ数年セックスレス状態でしたから、夫も私の身体をしばらく見ていません。夫が見ていませんから他の誰もどんな風に変わっていってるのか知りません。
“綺麗に折りたたんだ服を出してくれましたよね?その姿を見た時、僕はそこで理性を失ってしまったんです。
麻木さんの家にいるということも一瞬にして吹き飛んでしまいました。”
メールはさらに続きます。
“里美さん 着替えて出てきたけど、、、ノーブラでしたよね、白いTシャツ一枚だけ。下半身まですっぽり隠れてしまう大きいシャツでしたけど。
胸の辺りにポッチリが、、、見えていました。”
( 私が軽率なせいで、、、 )
“里美さん 慌てて出てこられたと思いました、、、その時、太股から下が丸見えで、、、素足で、、、下着をつけてなかったように見えました。
だから、僕はもう自分を押さえることができなくて、、、里美さんが差し出した服を受け取らずにキスをしてしまったんです。”
読んでいる内にまたメールが届きます。
“もう自分で自分をコントロールできない感じでした。もし、里美さんが大声を出して、麻木さんや弘毅君に見つかってしまってもいいぐらいの気持ちになってしまって、、、僕は手首を引っ張って自分の方に引き寄せた時、里美さんの身体がもたれかかるようになってふっくらとした胸の膨らみが僕に当たったんです。”
“抵抗されたらやめていたかもしれません。
でももうこの時を逃したら、二度と里美さんと触れ合うことができないかもしれない、見つかってしまったらもう会えないかもしれない、、、そう思うともう後戻りできなかったんです。ごめんなさい”
“、、、うん”
私はこう返事をするのが精一杯でした。
こんなに若い男性が私のような歳上の“女”にこんな熱い情熱を向けるなんて。
身体の奥から熱い何かが湧いてくるのがわかりました。
“僕はもう爆発しそうでした。僕は里美さんの腰に両手を回した時に下着の感触が伝わってきて下はパンティをはいているのがわかりました。もしそうでなかったらどうなっていたか、、、僕は今思い返したら怖くなってきます。”
“でも、僕はその時、里美さんに極限状態にまで膨張している自分のものを押しつけてしまいましたよね。でもそれは自分のものを里美さんに誇示したい、里美さんに僕のものの形・大きさ・硬さを体感して欲しい、そして里美さんの中に…そう思ってしまったんです。”
“僕にとっては夢を見ているみたいで、このまま時間が止まって欲しいって思いました。でも、夢のような時間はすぐ終わってしまった。”
“『もう会えなくなってもいいの?』
こうおっしゃいっしゃいましたよね?
また、、、会っていただけるんですか?
もう会えなくなるのは絶対に嫌です。”
彼の2度目の告白を聞いてしまいました。
真面目で一途な若者の気持ちを、、、
麻木の妻であることを忘れてしまっていました。
“…わかったわ…ねえ、省吾くん、このことは誰にも内緒よ? いい? 約束できる? ”
“…わかりました”
“それと、省吾くん…気付いてる…よね?”
メールを送ってからしばらく返事がありません。私は不安になってきました。
朝の時の気持ちはメールの通りであったとしてもその後のこと、私の身体のことに気付いてしまって彼はどんなにショックだったのでしょうか、、、
好意を寄せている“女性”が“本当の女性”ではなかった、、、なんて。
私は不安に押し潰されそうになり、そのまま電話をしてしまいました。
この“間”に耐えられなかったのでした。
省吾くんはすぐに電話を取りました。
『もしもし、、、』
『里美さん、、、』
『あはは ごめん、ごめんね。電話かけちゃった、、、』
精一杯明るく話しました。
『、、、嬉しいです。声が聞けて。』
ほっとしたようなこえが聞こえました。
でも、言わなくてはいけません。
『、、、あのね、省吾くん、私、、、』
『里美さん!』
彼が遮ります。
『あの、僕のもの、分かりましたか?その、、、大きさとか、、、』
『う、、、うん、、、わかった、、、よ?』
『僕はこれまでに3人ほどお付き合いをしたことがありました。でも、、、みんな長続きしなかったんです。』
『、、、うん』
( 何を言い出すんだろう、、、 )
『せっかく仲良くなって深い関係になってもすぐ終わっちゃうんです。経験のない女性はどうしても痛がってダメなんです。経験のある女性でも結構きついらしくて。だから女性と長い間親しく付き合った思い出ってないんです』
『こんなお話をすると軽蔑されるかもしれませんが、僕も男ですから、友人とかに誘われて風俗も何度か行ったことあるんですけど、風俗関係の女性には結構ウケがよくて…ソープの女性に真剣に付き合って欲しいって言われたこともあるんです。もちろん付き合ようなことはなかったですけど』
省吾くんに彼女がいない訳、奥手であることの他に彼女ができない理由を今私に話してくれています。
『だからって僕に靡いてくれる女性なら誰でも言いって訳なんかじゃありません!僕を見て、僕のことを知ってくれてから、僕のことを好きになってくれる女性でないと僕は愛せないんです。』
『うん、、、わかるの…わかるつもりよ?、、、でもね、、、私は』
『里美さん!』
また、大きな声で遮ります。
『はい』
『僕は、、、貴女のお眼鏡にかなわない男ですか?』
『そんなこと、、、』
『里美さんには僕が女性なら誰でもいいように見えているんですか?』
『そんなことないわ!』
私は強く否定しました。
『なら、貴女の身体がどうとか関係ありません。他の女性と少し違うだけで僕が貴女のことを嫌いになると思っているんですか?』
『でも、、、私は、、、』
『里美さん!』
『、、、はい』
『答えてください。』
『、、、そんなことは、、、しない、、、と思う。』
『もちろんです。貴女は私の理想の“女性”なんです。』
『また、、、会っていただけますか?』
『うん、、、はい、ありがとう。』
私は涙が溢れてきました。
『ご主人より劣るかもしれませんが、僕にも貴女を愛させてください。お願いします。貴女の全てを愛したいんです。』
『はい、、、お願いします。』
『僕の方こそ、、、生意気言ってすみませんでした。』
『とても嬉しいわ 省吾くん。ごめんねこんな身体で、、、』
『もうそんなことは言わないでください。里美さんは里美さんなのですから。』
『、、、うん』
一途な若者の想いに応えてしまいました。
そして私はこの言葉の意味を後日知ることになります。
私は電話を切った後、これまでの会話を思い返していると涙が止まりませんでした。
この情熱の籠もった言葉と口調で私は舞い上がりました。
まだ、3時を回ったところです。夫もまだまだ帰らないでしょう。
夫以外にこんなに想いを打ち明けられたことはありませんでした。
結婚の前にも後にも、、、結婚の後に言い寄る男は、、、皆無ではありませんでした。私のことを知らないで、また、知っていて。でも、人としての想いを打ち明けられたことはありません。
私は一階の寝室を出て戸締りを確認し、また戻ってきました。
ベッドに倒れ込み、今朝のことを思い出して行きました。
また、、、えもいわれぬ衝動が湧き、いけないことと抗います。ですが抗う心とは裏腹に身体は動いていきます。自分で自分を抱きしめても、今朝の彼の抱擁には程遠いのです。夫の抱擁も…もう忘れてしまっています。
ニットの上から胸を触り中に手を入れます。もう片方の手はジーンズのボタンを外しストッキングの上から触るとそこは触れる前から秘蜜が溢れて濡れそぼっていました。
どれぐらい経ったでしょうか、、、
「夫が、、、あの人が帰ってくる、、、」
「メイクも、、、治さなきゃ、、、」
私は気怠さを伴ったまま起き上がり、またお風呂場へ向かいました。
翌日、夫は会社がお休みだったのですが、私はパートに行く日でした。
「雨は降らないと思うけど、洗濯物 2時くらいに入れておいてくれる?」
夫にそうお願いしました。
「ああ、今日は一日家にいるから」
私はパートに出かけました。
昨日のことを思い出して
( もう若くないのに……こんなことじゃだめだよね……… )
と少し落ち込んでいました。
洗濯は毎日しているのでいつも少なくて済んでいます。自分で取り込みますから随分楽です。なので今日に限って3枚の下着が洗われ干されていることは失念していました。それにいつものショーツではなく…
家に帰ってから思い出しました。夫に不審がられないか不安でしたが何も言われなかったので
( 取り越し苦労かな、、、私の下着のことなんか気にもならないのかな、、、 )
と、安心していました。
そして、ゴールデンウィークの終わり頃、そして“その日”がやってくることになります。
彼のメールとともに、
イイネ!(1)
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JLEalB6c
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