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01/05 13:36
>>734

くまさん🐻へ>ANOTHER STORY…
丸い銀縁の小さな眼鏡をかけた、体格の良い男性がソーサーを布巾で拭きながら、キッチンからカウンターの方へ出て来ました。「お一人ですか?」『はい…』私には「独りですか?」とどうしても聞こえてしまう。

正面のクロムメッキに輝くエスプレッソマシンを眺めながら、つぶやいた『コーヒーください』「かしこまりました、エスプレッソでよろしいですか?」そう言うとマスターはソーサーを棚に収め、手を洗い念入り水を拭き取ると、コーヒー豆をビンの中から丁寧にすくった。

「こちらにいらしたのは初めて…ですよね?」『はい、偶々近くを通りがかったら、良い匂いがしたもので』「うちは常連が多いんですが、この時間帯は殆どお客様も見えないんえですよ」『そうなんですね…でも、丁度良かった…』

「何か、変わったことでもあったのですか?女性のお客様が一人で見えるのは珍しいもので…いや、別に詮索するつもりはないんですけど」『ええ、長年連れ添った人と事情がありまして…』マスターは察したのか何度か頷いたので、わたしもそれ以上は話すのをやめました。

『そう言えば、この曲…』「ええ、いつもはクラッシックかジャズが多いんですけど、丁度棚をを整理してたら出てきたので、掛けてみました。そしたら間もなくお客様が…」『香織…』「えっ?」『お客様じゃなくて香織でいいです。」



イイネ!(3) PC
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