[821]
香織
01/18 21:30
土手沿いの道をしばらく走り蔵前通りへ…新小岩を過ぎ東京方面に西へと向うと、四ッ木ランプから首都高に乗り、一旦新宿方面に向かい、湾岸線を目指す。プォーン<_イシンのアルミ・サイレンサーが、静寂のコンクリートのジャングルに乾いたエキゾーストが響き渡る。とその時右側のインターから黒いポルシェが合流してきた、まさか、ブラックバード?911‥あのオーバーフェンダーはターボかも?
そのポルシェは、まるでさっきからそこにいたかのように地面に張り付いて、近寄って来る。あはっ、なんだかアパートに出るゴキちゃんみたい℃рヘ笑みを浮かべながら、ギアを強引に3速に落とす…と、アクセルをガバっ!≠ニ開けた。プォッ、パンッ、プァオ〜ンッ!<}フラーのエキゾーストとリアタイヤが悲鳴をあげ、そしてフロントタイヤが僅かに宙に浮く…私は構わずそのままフロントに体重をかけアクセルを開け続ける。
プッ、ファオ〜ン!°ュ引なわたしの扱いにもめげず、私の愛馬≠ヘ答えてくれた。4速、5速…高速のワインディングでバックミラーに映るポルシェがどんどん小さくなる。な〜んだ、あんまりヤル気ないみたいね、興ざめとはこういうことっ!≠ヌんなスーパーカーをもってしてもバイクのフル加速には全く着いて行けない。直線1本の道ならまだしも、首都高の様な高速ワインディングでは、パワーウェイトレシオと、コーナリング特性を考えると4輪の不利な状況は否めない。
午前1時をまわり、湾岸の開けた視界の中に、レインボーブリッジが見えて来た。それは、闇夜の水辺にそびえ立つ白い巨塔≠フ様に見えた。橋を渡り、横浜方面…には向かわず、新木場から葛西方面に舵を取る。もう少しで大井パーキング。わたしは少し肩の力を抜くと、ギアを落とすと、バックファイヤーが起きたプッ、パン、パン… ̄Aに滑り込む、少し、キャブ被ってるみたいね
私はパーキングのトイレに程近い場所に愛馬を止めると、一回吹かして止め、サイドブレーキを落として右足をステップに残したままヘルメットを脱ぎ、左手のグローブを取った。髪の毛を掻き上げ、バイクから降りると、工具入れから六角レンチを出す。まだ、熱いかな?§p曲した独特の形状のサイレンサーの根本に六角レンチを差込み、サイレンサーの中のアポロ状の消音器を外し、地面に置く。
パーキングを見渡すと、キャンピングカーが1台と乗用車が3台停まっいる以外、これといって異常は感じられないこれでよしと≠たしはそれから身障者用≠フ化粧室に向かった。トイレに入り、用を済ませて鏡で化粧直すと、外に出た。自販機でダイドー≠フ缶コーヒーを買い喫煙コーナーに向かう。
休憩所につくとベンチに座り交互に足を組んで、ブーツのチャックを緩めた。胸元のジッパーを下ろしポーチからセーラムを取り出す。タバコにライターで火をつけると、携帯を取り出しメールをチェックする。1通のメールがあった。「さっきちょっと寄ったんだけど、バイクなかったから、こんな時間に何処にいるの?」友江か、今日のむしゃくしゃした原因の1人だった。
「何時に帰ってくるん?その時間に合わせて、ちょっと話があるんだけど…」勘弁してよ、素に戻っちゃったじゃない!友江は新入社員で大阪の堺からやってきた、双子の片割れの姉だった。細い子が好きな私はスラットしたその居で立ちと、どこか陰りのある雰囲気に惹かれた。後で知ったことだが大阪で彼氏と別れて傷心で東京に逃げて来たらしい…その時に近寄った私が、その彼の代理≠ノされたことを今日、知ったのだった。
冗談じゃない、私はタバコ吸い殻の縁で強く押しつぶすと、立ち上がりバイクの方に向かった。その時後ろから声がした。「あれ、お姉さんもう行っちゃうの?」いつの間にか喫煙所のベンチの近くに男が立っていた。と視界にさっきまでなかった黒いワンボックスが停まっていた。(そっかメール見て頭に血が昇って、入って来た車に気がつかなかった?)
『えぇ、これから人に逢わなくてはいけないので、』「そうなんだ、それは残念!少し話でもしようかと、思ったんだけど…」(話なんかしてどうする?)『じゃあ、また、今度ね…』(今度とお化けを見たことない。)あたしはその男性の視線を振り切るように、愛馬に跨るとエンジンをかけた。プッ、ワォッ〜ン!≠ウっきより、音がいい。忘れない様にサイドスタンドのころに置いた、消音器を手を伸ばして取りポーチの中にしまった。
イイネ!(23)
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