[836]  くまさん🐻
01/21 00:49
「甘く危険な香織」シリーズ 
@夜明けのトワイライト湾岸線  ”疾走の黒い淑女”

その四  (全六回)

 赤い薔薇の模様のはいったブラジャーとパンティの間、黒いガーターベルトを外した日の出ボスは、下着とストッキング姿の香織をベッドに腰かけさせた。

足元に膝をついたボスはまだ夜の匂いがするといって、ふとももを抱きしめ頬をすりつける。
彼の伸び始めたあごひげがストッキングを通して痛くさわり、同時に吐息の熱に香織の体もほてってくる。

片方づつの足からストッキングを脱がせにかかると、白い肉が広い窓からの朝日をあびて誘惑の香りを漂わせながら姿をみせる。 もう片方も脱がせると足を肩にのせ、そのまま口を寄せた。

 「例の北海道の土地から人骨が出たらしいですね」

ボスの口がくるぶしからふくらはぎ、そして膝からふとももへと胴体に近づいてくるのが恥ずかしくて言うのである。 口をふとももから離すこともなくボスが答えた。

 「そりゃあ出るだろうさ、元々墓場跡の誰も買わねえ土地だからな。それよりあんまり飛ばすんじゃねえぞ。」

ボスの口がふとももの肉を強く吸い、さらに舐めはじめると香織の口からうっと短い声がもれた、そして体を支えていた両手のちからが抜け、そのままうしろにぱたりと倒れた。



 台場の湾岸線に出ると、右側のビルの林立が臨界副都心の開発地域であることを教えてくれる。
しかし、幸いなことに数ヶ所の海底トンネルのため、危険物を積んだタンクローリーなどのトラックは通行できない。 その影響かタンクローリーだけでなく、普通のトラックも少ない。
ましてや夜が明け始めた今、前を走る車は見当たらない。後ろからせまるポルシェに対抗心をもった香織は・・。

 「5秒あればいい」

 そう決めたら迷うことなく右足のペダルに力を入れた。
”淑女”が本性を現した。ポテンザが鳴いたと思った刹那、猛烈なGが香織の体をレカロシートに押し付ける。

フジテレビの前からまるでロケットの発射のように加速する”淑女”に、ポルシェも見送るだけだった。
みるみる小さくなるイエローバードを尻目に、そのまま空港につながるトンネルに飛び込んだ。

”淑女”の雄叫びがトンネル内を轟かせる、いや雄叫びという表現は”淑女”にはふさわしくないかもしれない。
ただ、雷鳴にも似た音を響かせたのは確かだ、最深部にむかう下り坂の中で香織はアクセルをゆるめ、エンドレス製シックスキャリパーのブレーキをポンピングする。上り坂になる直前、下むきのGが襲う前にスピードを落としたい。

ブレーキと共に前のめりのGに逆らって両手で体を突っ張る、グギと”淑女”が少し文句を言ったら上りと同時に出口の明かりがゆっくりと目にはいる、どうやら空港設置のオービスに間に合った。
もちろんバックミラーに写る車の影はなかった。

 大黒PAに早めに着いた香織は、屋上のテラスでコーヒーを飲みながら複雑なジャンクションと駐車場を眺めて日の出ボスを待った。
ややあって、先ほどのイエローバードが駐車場に入ってきた、興味をそそられた香織はその車を目で追った。
一度ぐるりと広い駐車場を回ると、香織のフェアレディの近くに車が止まった。
降りてきた人物はチャコールのトレンチコートを着ていた。ドアを閉めるとコートの襟をたて、あたりをぐるりと見回すと屋上テラスに香織の姿を見つけ、人差し指と中指の2本で軽い合図をしてあいさつした。
それに答えて香織も笑いをこらえるようにして手のひらを軽くふった。


イイネ!(23) PC ZefMWATJ
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